10月 082013
 

Number Web によると。

 いよいよ、新たな五輪シーズンが始まった。バンクーバー五輪から、3年半。あっと言う間に経過したように感じられる。

 10月5日、さいたまスーパーアリーナで開催されたジャパンオープンで、日本チームは昨年に続いて優勝。それぞれが五輪用のフリープログラムを初披露した。

 女子で6人中1位となった浅田真央は、135.16といきなりパーソナルベストを更新した。彼女の新フリーは、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」。フィギュアスケート界では定番の“勝負曲”と呼ばれる音楽で、これまで高橋大輔、村主章枝など、多くのスケーターがこの音楽を五輪プログラムに選んできた。振付は、長年彼女のプログラムを手掛けてきたタチアナ・タラソワである。

■圧巻だった浅田のステップシークエンス。

「シーズンオフに練習してきたことが、まずまず出せたと思います。次につながる試合になってよかったです」

 浅田真央は会見で、少しほっとしたような表情でそうコメントした。

 出だしの3アクセルは着氷でオーバーターンしたものの、回転は承認された。予定していた3フリップ+3ループが、3+2になるなど技の難易度を下げたところはいくつかあったものの、ミスらしいミスはルッツの不正エッジと、3サルコウで片手をついて回転不足と判定されたことのみ。

 最後のステップシークエンスの部分は圧巻で、彼女ならではのたおやかながらも力強いスケーティングを見せた。動作の一つ一つが美しく、昨シーズンにもまして滑りが伸びやかに見える。すべてのスピンとステップでレベル4を獲得し、芸術性などを評価される5コンポーネンツでは8点台半ばと高い点が並んだ。

■女子で唯一、6種類の3回転ジャンプを入れた構成が光る!

「課題にしていた、スピンやステップのレベルが取れたことは良かったと思います。ジャンプは失敗することもあるけれど、ここでは大丈夫かなと思っていたジャンプでちょっと失敗してしまった。次はそういうことがないようにしたいです」

 不安があったというのは、サルコウのことに違いない。3アクセルに強くこだわっていたバンクーバー五輪当時の彼女のプログラムには、苦手意識のあったルッツもサルコウも入っていなかった。当時に比べると、現在の浅田のフリーは格段にバランスのとれた構成になっている。女子の中で唯一、アクセルも含む6種類の3回転がくみこまれているのだ。

 自らの弱点から目をそらすことなく、佐藤信夫コーチと新たなスタートをきって3年半。現在の浅田真央は、当時の彼女とはまったく異なるスケーターに成長した。

 彼女の新たな五輪への挑戦がいよいよはじまろうとしている。

■ジャンプミスの目立った高橋大輔だが……。

 一方、男子のエース、高橋大輔はジャンプのミスが重なって6人中4位というふるわない結果だった。

 新フリーは、ビートルズメドレー。かなりアレンジが加えられた編曲で、タンゴ風の「カム・トゥギャザー」などは、高橋ならではの持ち味を生かしたお洒落な選択である。振付を担当したのはローリー・ニコルで、高橋とは初めての試みとなった。

「テクニカルのほうでミスが目立ってしまいました。でも演技としては気持ちよく、楽しく滑ることができました。たとえ疲れていても、楽しく滑ることができるプログラムだということを再確認しました。初披露を終えて、ほっとしています」

■高い可能性を秘めた高橋の新プログラム。

 4回転トウループと3アクセルという、もっとも大きなポイントを稼ぐ大技で転倒したことで、全体の流れを欠いてしまい、プログラムもうまく盛り上がらなかった。

 それでも5コンポーネンツでは2項目で9点台も出て、6人中でもっとも高い点を得た。男子でコンポーネンツに9点台を出せる選手はほとんどいない。これは、このプログラムに対するジャッジからの明らかなメッセージである。もし高橋がこれをノーミスで滑りきったなら、驚くほどの高得点が出る可能性を秘めているということだ。

■圧倒的な強みを誇るフェルナンデスの4回転。

 男子6人中トップだったのは、トウループとサルコウの2種類の4回転を合計3度成功させたハビエル・フェルナンデス(スペイン)だった。

 彼の4回転は成功率が高いだけではなく、ジャンプが大きく勢いがあるため、ジャッジから必ず加点を得て高いポイントを獲得している。このフリーでも一度の4回転でおよそ12ポイント、4回転だけで合計36ポイントも稼いでいるのだ。

 スケーティングの質や表現においては、彼は高橋にも、今回2位になった小塚崇彦にも及ばない。それでもスポーツである限り、やはり現在の男子の戦いで4回転は欠かすことができない武器だ。フェルナンデスがこの3度の4回転ジャンプを持っている限り、五輪でも怖い相手になるだろう。

 高橋ほどの表現力を持った選手でも、4回転なくしてはチャンピオンになりえない。それが現在の男子の現実である。その意味では、バンクーバー五輪当時とは違った戦いになってくることは間違いない。

 GP大会開幕まであと2週間、いよいよ新たな戦いが……。

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