毎日新聞 によると。
◇子育て定住の見本になる
子供たちの笑顔と、ラブラドルレトリーバーの雄叫(おたけ)びに迎えられた。キャンプ場やゴルフ場が広がる神石高原町上豊松の仙養ケ原ふれあいの里。昨春、県内初の災害救助犬訓練センターと併設して、自然に囲まれ愛犬と飲食を楽しめるドッグカフェがオープンした。
経営者の池口直也さん(41)は「神石に来る前は、妻のみゆきとえっと(とても)悩んだけど、住んでみたら天国。子供と伸び伸び暮らせる神石高原町に、家族で引っ越してきたらいいよ」。傍らに、長女琳夏(りんか)ちゃん(6カ月)と愛犬あずき。町立来見小2年に転校した長男康生くん(8)は、目の前に広がる芝生の「ドッグラン」でフリスビーを投げ、あずきと戯れた。
福山市中心部の精肉店の次男に生まれた。叔父が市教育長、母はPTA役員という家庭に育ち、小中学校時代は「やんちゃを繰り返した」。おせっかいな近所のおじちゃん、おばちゃんに囲まれ中学卒業後、職人にあこがれ日本料理店などで修業。その後、父の店も手伝った。だが古里は、「中高生に注意すると、『くそじじい、くそばばあ』と逆ギレされる町」に変わっていた。「ここで子育てしていいんだろうか」
そんな時、愛犬仲間で、国内外で災害緊急救援・復興支援活動を行うNPO(特定非営利活動法人)「ピースウインズ・ジャパン」の大西健丞代表に「犬の訓練センターに併設してドッグカフェを作る。特産品開発を手伝ってくれないか」と誘われた。「コンビニエンスストアも誘致する」という口説き文句に、挑戦を決断した。
同町井関地区は「困っていると思ったら、何でも声をかけ、手伝ってくれる」コミュニティーが息づいていた。子供の笑顔が周囲に広がり、心から歓迎してくれているのがうれしかった。昨春から空き家で暮らし、夏にニュータウンに家を新築、Iターン定住した。
本業は「目が回る忙しさ」。昨秋、食の祭典・神石高原マルシェで、和牛の甘みを引き出した「神石高原メンチカツ」が3000個を売り上げ準グランプリに。「おいしかったわ。ありがとね」。道の駅・さんわ182ステーションなどで1個300円で販売されるとリピーターが増え、商談も持ち込まれる。
コンニャクとすじ肉が甘辛い「コンニャクコロッケ」(同160円)も、町内の温泉施設・湯っ蔵さんわなどで好評。きな粉と黒ごまを使った和風の「わらび餅プリン」も開発。ドレッシングやタレなども販売を始めた。神石ポークや新鮮な野菜など豊かな食材に、創作意欲は尽きない。
愛犬と泊まれるログハウスのペットホテルもゴールデンウイークには60組の家族連れが利用。大学生の合宿などとしても活用され始めた。「時代が求めている『本物』が神石にある。Iターンで後に続く人に雇用の場を作り、子供たちに誇れる幸せな田舎暮らしの手本になりたい」【
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