デイリースポーツ によると。
横浜が関東一との関東対決に敗れた。五回、三走・尾関一旗捕手(3年)の同点の本塁生還の際、アピールプレーで本塁を踏んでいないと見なされ、得点が取り消される場面があった。渡辺元智監督(67)が抗議する異例の事態となった。“幻の1点”で流れを失った横浜は、優勝した06年以来となる4強進出を逃した。
いつまでも顔を上げることができなかった。「自分のせいで負けてしまった。申し訳ないです…」。試合後の尾関主将は涙で声を震わせながら「自分のせいで…」と繰り返し、敗戦の責任を1人で背負い込んだ。
分岐点となったプレーは2点を追う五回裏。1点返してなお1死一、三塁から高橋が三塁前に内野安打となる絶妙のバント。三走・尾関は同点のホームを右足で確かに踏んだと自覚していた。横浜ベンチは一気に逆転ムードへと沸きに沸いたが、直後に関東一側の本塁を踏んでいないとのアピールが認められ、尾関の生還は幻となった。
甲子園通算50勝監督が黙っていられなかった。渡辺監督自身が「興奮して、自分を失ってしまった」と振り返ったように、67歳の名将が我を忘れた。鬼の形相で窪田球審に詰め寄り、高校野球では認められていない抗議に及んだ。大会総務委員に指摘され、怒りの矛を収めると、選手を集めて「終わってしまったことは仕方がない。切り替えていこう」と諭し、六回の守備に送り出した。
見たことのない指揮官の姿に選手は発奮。誰よりも奮起したのが尾関だ。七回、一時は同点となる中犠飛を打ち上げた。横浜の主将は選挙で選ばれることが多いが、尾関は渡辺監督の指名で就任。その求心力が評価された。「何としても1点取りたかった」という主将の意地の一振りだった。
九回に2点勝ち越されて“ミス”を白星で返すことはできなかった。「踏んでなければスパイクの裏の感触でわかる。ガッツリ踏んだと思いました。気持ちの整理がつかないです」。監督に肩をたたかれても、尾関の涙は止まらなかった。
渡辺監督は試合後、「私の方からは踏んだように見えましたが、私の方が遠いですから」と問題を再指摘することはなかったが、教え子の無念は残った。「今はまだ終わりたくないという気持ちです」と尾関。春は不完全燃焼に終わったが、尾関にはまだ最後の夏が残されている。全国一の激戦区を勝ち抜き、忘れ物を取り返しに必ずこの舞台に戻ってくる